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法話
2026/02/20
2月の法話(ミラノ・コルティナオリンピック)

 今、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開催されています。現時点で日本は24個のメダルを獲得し、冬季オリンピック史上最も多くなっています。私と同世代が活躍した頃のことを考えますと、競技数が増えたとは言え、飛躍的なメダルの数です。どの競技を見ても、選手の皆さんそれぞれに感動のストーリーがあり、測り知れない努力があって、その場所に立っておられることが伝わってきました。
 
 ところで我が家では、テレビの上に東井義雄さんの言葉を集めた「日めくりカレンダー」が掛けられています。オリンピックの中継を見ながら、ふと見てみると、このような言葉がありました。

「一番はもちろん尊い しかし一番より尊いビリだってある」

 考えてみますと、オリンピックでは金メダルを獲った選手は注目されますが、ビリの選手が注目されることは少ないように思います。その中で私が一番印象に残っているオリンピックでのビリの選手は、2000年のシドニー夏季オリンピックで水泳選手として、100mを泳ぎ切った赤道ギニアのエリック・ムサンバニ・マロンガさんです。彼は他のコースの選手が失格となったため、たった一人で泳ぐことになり、途中で溺れそうになりながらも、泳ぎ切ったのでした。その記録は、当時の100m世界記録の2倍以上で、200mの記録よりも遅いものでした。しかしながら、彼は観客の注目を一身に集め、人々に感動を与えたのです。彼のひたむきな姿こそ、「一番より尊いビリ」と私は感じました。
 私たちは比較、競争することで、切磋琢磨し、成長するという一面があるのでしょう。それはもちろん尊いことです。しかしそれよりも、御釈迦様が言われるように、自分の目的を熟知して、自分のつとめに専念することが大切です。まず、自分の目的を熟知し、それを断念しなければ、必ず成し遂げられます。自分で決めた目的であるならば、つとめも楽しむことが出来るのではないでしょうか。自分は今、何を目的として行動しているのか、改めて見つめていきたいものですね。称名。【副住職】