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法話
2021/08/20
8月の法話(最近思うこと2)

 今、世間を賑わせている話題と言えば、相変わらず、新型コロナウイルスやワクチンのこと、最近では大雨のことでしょうか。毎日ニュースばかり見ておりますと、本当に不安な気持ちになります。一方で東京オリンピックでの日本人選手の健闘により、国民が勇気づけられたことは明るいニュースです。
 現代を生きる私たちは、良くも悪くも様々な情報によって左右されます。情報が氾濫しているので、全て自分で取捨選択していかなければなりません。しかしながら、それぞれが「この情報こそが正しい」と思っているので、そこに分断が生まれてしまいます。つくづく難しい世の中になったものだなと思います。案外私たちは知らないことの方が幸せでいられるのかもしれないと思うこともあります。
 このような時代だからこそ、改めて親鸞聖人のお言葉が心に響きます。

「何が善であり、何が悪であるのか、そのどちらもわたしはまったく知らない。なぜなら如来がそのおこころで善とお思いになるほどに善を知り尽くしたのであれば、善を知ったと言えるであろうし、また如来が悪とお思いになるほどに悪を知り尽くしたのであれば、悪を知ったと言えるからである。しかしながら、わたしどもはあらゆる煩悩をそなえた凡夫であり、この世は燃えさかる家のようにたちまちに移り変わる世界であって、すべてはむなしくいつわりで、真実といえるものは何一つない。その中にあって、ただ念仏だけが真実なのである。」(『歎異抄(現代語版)』50頁、本願寺出版)

このお言葉は、阿弥陀様の深い御恩の尊さを忘れ、「善悪」にこだわっている自分自身を今、正に目覚めさせて下さっているのです。称名。【副住職】