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法話
2022/04/20
4月の法話(御堂さん4月号)

 御堂さんに医師の鎌田實さんが「人まかせにしない人生」というタイトルで毎月、連載されています。今月は、「ソロで生きる覚悟」という内容でありました。その中であるご夫婦のお話を紹介されています。
 妻は進行性の癌で、「もって数日の可能性があります。」と主治医から言われていました。夫は、仕事以外はできる限り病院に顔を出していましたが、どうしても会社に出なければならない日がありました。「すぐに戻るから。」と声をかけると、「気をつけてね」と妻。それが最後の言葉となりました。仕事のために、妻の最後に立ち会うことが出来なかったことを夫は悔いていたようです。夫が孤独に陥っていたところ、妻が手紙を残していました。
「やっぱり、さようならは悲しいかな。でも、かわいそうじゃないわよ。好きなように人生を送れたから幸せだった。だから、よくやったねって、みんなが思ってくれたらうれしいわね」
夫はこの手紙を読んで泣きました。しかし、この手紙のおかげで、悔いていた状況から立ち直ることが出来たとのことです。夫は言います。
「家内は間に合わないかもしれない私に向かって、最後のメッセージを残してくれました。この手紙があれば、いつでも家内の顔を思い浮かべられます。最初は読み返すたびに涙が溢れてきましたが、やがて、『自分の分まで一生懸命に生きなさいね』と家内が励ましてくれるように思えるようになりました。」
 このお話を紹介された上で鎌田さんは次のように言われました。
「誰か一人にすること、あるいは自分が一人でいることだけで、さびしいかどうかなんて決めつけることはできません。いや、むしろ、物理的に誰かと一緒にいなくても、精神的に自立していれば、自分の時間を楽しみ、自分の考えで判断し決定していくことができます。ぼくはそれを「ソロ立ち」と名付けました。(中略)ソロ立ちは、孤独であっても、孤立とは違います。一人ひとりがソロ立ちをしながら、周りの緩やかな関係を大切にする「個立有縁」社会が広がったら、もっと生きやすい社会になる。ぼくはそう考えています。」
 今月から、圓満寺では「えんまんじcafe」という自由な集まりを月に一度のペースで始めました。「えんまんじcafe」は、鎌田さんの言われる「個立有縁」の社会の実現を目指しています。来月は5月21日(土)13:00~15:00(未の刻)を予定しております。皆様、もし何か手作りのものをお持ちでしたら、ご持参の上(もちろん手ぶらでも結構です)、お越しください。お待ちしております。称名。【副住職】