法話
2022/05/01
5月の法話
結果はどうであれ
その頑張りを
大切にしたい
(真宗協和会掲示伝道より)
新年度が始まって一カ月が経ちました。新しい環境の中で、皆様それぞれに勤め、励んでおられることでしょう。しかしながら、未だに新しい環境に馴染めないこともあると思います。そんな時、どうして自分はこうなのかとつい自分自身を責めておられないでしょうか。以前の私はそうでした。悪いとは分かっていても、いつも同じ過ちを繰り返してしまい、自分で自分のことが嫌になっておりました。
ところが、今では少しでも自分にできることがあれば、「こんなことができる私はすごい」と思っています。例えば、私は最近、料理を作るようになりました。慣れないことも多く、時間もかかってしまいますが、今までやろうともしなかったことができるようになっただけでも進歩です。「できました。」という自己肯定の大切さを改めて感じております。結局のところ、結果をどのようにとらえるかは自分次第だと思います。
それと共に忘れてはならないのが、感謝する心です。こうして料理が作れることは、多くの命を頂くからであり、限りないご縁がはたらいているからこそです。私は「有難うございます。感謝します。」と心の中でつぶやくようにしています。
仏教では、「頑張る」という言葉はあまり良い意味ではありません。本来「頑張る」は、「我を張る」に由来すると考えられているからです。「頑張り」から、「楽しみ」に変えることができれば、大きく見方が変わるように思います。「結果はどうであれ その楽しみを 大切にしたい」私たちは今を楽しめることを心から感謝して、お互いに大切に生きていきたいものです。御釈迦様はこのように言われています。
「怨みをいだいている人々のあいだにあって怨むこと無く、われらは大いに楽しく生きよう。怨みをもっている人々のあいだにあって怨むこと無く、われらは暮らしていこう。」(中村元訳『ブッダの真理のことば感興のことば』、岩波文庫、37頁)
昨今の報道を見ておりますと、不安、恐怖、そして怨みを感じています。今、日本が平和であることに感謝して、怨むこと無く、心穏やかに暮らしてまいりましょう。称名。【副住職】