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法話
2022/10/10
絵本法話~いのちをいただく~

 牛を解体して食肉にするお仕事をしている坂本さん。息子のしのぶ君の参観日と、解体する牛のみいちゃんを連れて来て、そのみいちゃんとの別れを惜しむ女の子を見たことがきっかけで自身の仕事について考えるようになりました。
 坂本さんは牛のみいちゃんをお肉にするのは辛く、休みたくなりました。でもしのぶ君と約束したので休みませんでした。

 同じいのちをいただくならば、牛が苦しまないように、急所を外さないように丁寧に。最後には感謝して食べる。いのちを奪う仕事を通して、いのちの尊さを改めて考えさせられ、もう少しこの仕事を続けようと思った坂本さんでした。
 収穫の秋、食欲の秋がやって来ました。食べ物が美味しく食欲も進みますね。
 私たちは、いのちを奪わなければ生きていくことが出来ません。お米、野菜をいただくにも多くの植物、虫などいのちを奪っています。お肉やお魚をいただくにも植物、虫、プランクトン等のいのちを奪っています。
 お店では野菜、肉等、食材としか見ませんが、全てはいのちです。尊いいのちを、私たちに代わって辛い思いをしながら加工して下さる方もいらっしゃいます。そうしてやっと私たちは食べられます。
 
 普段、ついつい「高い、安い」「美味しい、不味い」と言ってしまいがちですが、「いのち」と考えるとそのようなことは言ってはなりません。
 私たちはいのちを奪うことでしか生きられません。ならば、せめて私たちに出来ること、それは感謝することです。
 食事の際の「いただきます」は「あなたのいのちをいただきます」なのです。食後には「ごちそうさまでした」感謝の気持ちは忘れたくないものです。
『いのちをいただく』
 原 案/坂本義喜
  作 /内田美智子
  絵 /魚戸おさむとゆかいななかまたち
 発行所/株式会社講談社

 子どもにも大人にも。改めて自分は多くのいのちに生かされて生きている、と大切なことを考えさせられる1冊です。【若坊守】