法話
2022/11/01
11月の掲示板
「こんなにやってあげてるのに」
それ相手も思っている
(作者不詳)
「こんなにやってあげてるのに」という言葉の中には、そもそも「あなたの為にやっている」という考えが前提にあると思います。皆さんは、人の為にされていることはありますか?「人偏に為という字、人の為という字を書くと、これを日本では「偽(いつわ)り」と読みます。」これは、作家の五木寛之さんがある本で書かれていた事です。その上で、「たとえボランティアや布施という行いであっても、他人のためではなく、自分のため、自分の心のむなしさを埋めるためにさせていただくと考えたほうが自然なのではないか。」と述べておられます。
それでは、「人の為」から「自分の為」に転換するにはどうしたら良いのでしょうか?それには、視点を変えてみることが一つの解決策だと思います。
例えば、料理を作ることが、「人の為」にしているとします。ところが、視点を変えてみると、自分が食べたいものを作ろうと決めることで、少しは楽しめるような気がします。全てを当てはめることは難しいかもしれませんが、考え方一つで「人の為」という視点から離れることができます。
「人の為に」と想い行動することはなかなか出来ません。それが出来るあなたはとても優しい素敵な人です。しかし、その行動に対し見合った行動や言葉を返してもらえなくて嫌な思いをしたこともあるでしょう。そんな時は、相手を想いつつも、その中に自分自身の喜び、楽しみを見い出せると心が少しは満たされるかもしれません。そして、していただいたことには常に感謝の気持ちを忘れずに伝えたいものですね。
称名。【副住職】【若坊守】