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法話
2022/11/20
11月の法話(「俺はキムタクになれないが、キムタクは俺にはなれない」)

 先日、岐阜県で「ぎふ信長まつり」が開催され、俳優の木村拓哉さんが織田信長に扮した武者行列が話題となりました。
 タイトルの言葉は、地元にある真宗大谷派のあるお寺の掲示板に書かれていたそうです。そのお寺のご住職に意図を伺うと、次のように説明されました。
「御釈迦様は生まれてすぐ7歩歩いて”天上天下唯我独尊”と言われたと伝えられています。誰とも代わることができない命をいただいて、これから生きていくという意味です。つまり、おごったことでなく、そのまま生きていけばいい。キムタクになる必要はないということです。自分の命をそのまま大事にしていけばいいという意味です。」
 「天上天下唯我独尊」と聞くと、自分だけが優れているとよく誤解されています。そうではなくて、「私たちは誰にも代わることのできない命を今、生きていることが何より尊いことである。」と御釈迦様は説かれました。これは、人だけに限ったことではなく、全ての生きとし生けるものが尊いということでもあります。全ての生きとし生けるものに対して、幸いあれと願われた方が御釈迦様です。ですから、存在しなくてもよいということはあり得ないのです。全ては尊いのであって、バランスと循環の上に成り立っています。
 ところが、私たち人間はどうでしょうか。鳥インフルエンザが怖いからと言って、鶏を百万羽以上も犠牲にしてしまうのです。確かにウイルスが広まれば、大変かもしれませんが、これほど命が軽く扱われることがかつてあったでしょうか。
 今こそ、御釈迦様が残された言葉を聞き、全ての存在に感謝し、お互いを尊重して生きていきたいものです。称名。【副住職】