法話
2023/04/20
4月の法話(御堂さん4月号)
今月の御堂さんに、「みすゞとわたしと」という表題での座談会が掲載されていました。詩人の金子みすゞさんは1903年の4月11日に生まれ、今年で生誕120年を迎えたとのことです。
座談会では、シンガーソングライターのちひろさんという方が、次のように話されていたことが印象的でありました。
「みすゞさんの「みんなちがって、みんないい。」という言葉には、一人ひとりみんな違うから尊いというメッセージが込められています。私は、そんな一人ひとりの尊さ、人生の喜びに出遇ってほしいと思って、歌っているんです。」
私自身、大学時代のコーラス部で、金子みすゞさんの詩の曲集「空の色、海の色」を歌ったことがあります。それらの詩に出会って感じたことは、私には、ものや現象としか感じないことでも、まるで命が宿ったかのように表現されていたことです。例えば、「濱の石」という詩です。
濱辺の石は波のやう、みんなまるくてすべっこい。
濱辺の石は飛び魚か、投げればさっと波を切る。
濱辺の石は唄うたひ、波といちにち唄ってる。
ひとつびとつの濱の石、みんなかはいい石だけど、濱辺の石は偉い石、皆(みんな)して海をかかへてる。
私たちは、命あるものと石などの物質を分けて考えることが多いと思います。しかしながら、石も単なる物質ではなく、石にも石として存在する意味があるということです。本当は全ての存在が命というエネルギーで満たされているのかもしれません。そう考えると、「みんなちがって、みんないい。」という言葉には、全ての存在に対する感謝と尊敬の意味が込められているのではないでしょうか。称名。【副住職】