どうにもならないことは
どうする必要もない
晴れてよし降ってよし
勝ってよし負けてよし
いまを生きる

　当初、私は今月の掲示板の言葉に違和感を感じていました。それで悩んでいたのですが、原因がはっきりしました。「晴れてよし降ってよし」と「勝ってよし負けてよし」はそもそも性質が違うということに気付いたのです。
　確かに私たちにはどうにもならないことがあります。天候はその一つだと思います。
　例えば、「雨が降って嫌ですね」と言う人もいれば、「雨が降らないと困る」と言う人もいる訳です。同じ雨という天候であっても、それぞれの都合によって受け止め方は変わります。しかしながら、天候は自然のことなので、それほど感情的になることはないでしょう。

　一方で勝負事というものは、やはり勝ち負けにこだわるものだと思います。例えば、もし負けてよしと思っているなら、プロ野球選手は誰も神社で必勝祈願はしません。当然負ければ悔しいですし、勝つためにはどうすれば良いかを考えるはずです。
　ただ一つ重要なことは、いま自分が「勝負の世界」に生きたいのか、「調和の世界」に生きたいのかをはっきりさせることだと思います。これはどちらが良い悪いではなく、根本的な考え方の違いであることが分かれば、「どうする必要もない」というよりも、「全てが必要なことでありました」と受け止めていける世界が開かれていくような気がします。称名。【副住職】