法話
2023/10/10
絵本法話~希望の牧場~
東日本大震災後、発生した原発事故によって「立ち入り禁止区域」になってしまった牧場にとどまり、そこに取り残された牛たちを守りつづけようと決めた、牛飼いの姿を描き出すお話です。
東日本大震災後、原発事故により被災した牧場の牛は出荷されません。「立ち入り禁止区域」。立ち入り禁止だけでなく、その後には牛の「殺処分」の決定。
人間が勝手に牛の生死を決める。食べるために育て、食べるために殺し、都合が悪くなれば殺処分。
でも牛には関係ない。食べたいから食べ、排泄したくなったらして、寝たいから寝る。
殺処分するにも沢山の理由があったと思うし、生かす可能性も沢山考え抜いての結果だろうと思います。
お釈迦様の涅槃図(ねはんず)を見たことがありますか?お釈迦様の死を悼んで、人間、動物、植物皆が悲しみに寄り添う図が描かれています。
仏教には六道輪廻(ろくどうりんね)という考えがあります。何度も生まれかわる、人間の時もあれば動物の時もあり、それを繰り返す間に生きとしいけるものは皆家族、兄弟であるのです。
身近でないから、どことなく他人事ですが、ご自身のペットであったならどうでしょう?家族であったらどうでしょう?綺麗事では済まないことも沢山ありますが、人間中心の考え…どうなのでしょうか?
動植物、すべてのいのちは平等なはず。答えは出ないかもしれませんが、今一度立ち止まって「いのち」について考えたいですね。
『希望の牧場』
作 / 森 絵都
絵 / 吉田尚令
発行所 / 株式会社 岩崎書店
いのちについて、考えたい、考えさせられる1冊です。
「希望の牧場・ふくしま」では餌不足の問題が深刻化していくなか今も取り組みが続いています。絵本の売り上げの一部をその活動資金として寄付しています。
どうぞお手に取って子どもも大人も読んでみて下さいね。【若坊守】
※「希望の牧場」のYouTubeやX(旧Twitter)もあるので良かったら検索して御覧くださいね。