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法話
2023/11/01
11月の掲示板

幸せとは 何かを 得ることではなく

得たものを大切にすること
 私たちはどんな時に幸せを感じるでしょうか。例えば、地位や名誉、お金などが得られた時でしょうか。確かに、国などから表彰してもらうことは、大変名誉なことかもしれません。しかし、それは結果であって、表彰された方は、名誉を目的とされた訳ではありません。お金も同じであります。つまり、これら全てに実体はなく、本当の意味で心を満足させることは出来ないと思います。
 
 幸せとは得たものを大切にすることです。そのことについて、なるほどこういう事かもしれないと思う事がありました。
 ある日、テレビを見ていると、モンゴルの遊牧民の方がこのようにお話されていました。
「時には家畜を狼が襲って、失うことがあります。しかし、私は狼を憎むことはありません。狼は草原の中を生きています。ですから、草原にいる動物を襲うのは自然なことなのです。むしろ、人間のほうが自然を壊しています。」

 一方で、遊牧民の方々は家畜は大切にされています。狼に襲われないように、案山子を立てていました。彼らはモンゴルという厳しい自然の中ではありますが、大変幸せそうでした。彼らには、地位や名誉はありません。そうしたことではなく、彼らにとって既に得た財産である家畜を大切にすることで、幸せに生きておられたのです。
 私たちは得たものには、気付かないことが多いと思います。例えば、当たり前のように空気を吸っています。水も飲んでいます。小さな得たことを大切にして喜べることが、幸せにつながっていくのではないでしょうか。称名。【副住職】