法話
2023/12/10
絵本法話〜そんなこともしらないの?〜
《あらすじ》
色とりどりの小魚が群れで泳いでいるところに、「赤い魚が風邪引いてるってよ~」と聞こえて来ました。それは腹ペコアンコウが小魚を食べるための嘘でした。
それを知らない小魚たちは風邪が移るからと赤い魚を群れから追い出します。アンコウは赤い魚をペロリ。次のターゲットは黄色い魚。その他の魚は黄色い魚も追い出します。アンコウは黄色い魚もペロリ。こうして次々とアンコウの餌食に…。
どこかで聞いたようなお話ではありませんか?誰かがしていた噂話をあたかも本当のことかのように言ってしまったり、そのつもりがなくても誤解したり、させたりすることの経験は誰しもあるかと思います。
悲しいかな、この絵本のアンコウのように、世の中には嘘を流して他人を陥れようとする人もいます。噂は噂でしかありません。しっかり考えなければなりません。
先ずは自分を問うことが大切なのかもしれません。人も自分も傷つけないように。
お釈迦様の言葉に「自分を苦しめず、また他人を害しないことばのみを語れ。これこそ実に善く説かれたことばなのである」(スッタニパータ451)とあります。他人も自分も傷つけるような言葉は、心して言わないようにと。
「ひとつのことば」という詩があります。
ひとつのことばでけんかして
ひとつのことばでなかなおり
ひとつのことばで頭が下がり
ひとつのことばで心が痛む
ひとつのことばで楽しく笑い
ひとつのことばで泣かされる
ひとつのことばはそれぞれに
ひとつの心を持っている
きれいなことばはきれいな心
やさしいことばはやさしい心
ひとつのことばを大切に
ひとつのことばを美しく
誰でも様々な情報を手に入れやすい時代になりました。中には嘘の情報もあります。惑わされず、先ずは自分が発する「ことば」から気をつけることを心掛けたいものですね。
フェイクニュース、ゴシップ記事の多い世の中です。自分で考えて惑わされないためにはどうしたらよいか?考えるきっかけになる絵本です。
『そんなこともしらないの?』
作/パク・ジョンソプ
訳/なかやまよしゆき
どうぞお手に取って読んでみて下さい。【若坊守】