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法話
2024/01/01
1月の掲示板

初春に 

あたりまえの 

ありがたさ 

かみしめる
 お念仏の満ち満ちた中、新年を迎えましたこと、謹んでお慶び申し上げます。

 こうして、あたりまえのように新しい年を迎えられることが、私自身、本当に尊くありがたいとかみしめています。
 
 実はあたりまえと思っていることは、本当はあたりまえではないのです。全てのご縁が私のはからいとは関係なく、今、ここにはたらいて下さっています。ご縁であるが故に常に変化しています。常に変化しているおかげで、私たちは、一瞬一瞬、新しい命を生かされ生きることが出来ます。それは、ご縁がご恩となって下さっているということです。
 そのことがよく表されている一つの詩があります。浅原才市さん*という方の詩です。

 ご恩思えば みなご恩 
 この才市もご恩でできました
 なむあみだぶつ、なむあみだぶつ

才市さんはお念仏を通して、いのちの目覚めを頂かれた方です。新年を迎えるにあたり、今、ここのありがたさを改めて見つめていきたいものであります。称名。【副住職】

*浅原才市(1850~1937):石見国(現在の島根県)温泉津(ゆのつ)町小浜の生まれ。両親は早くに離婚し、十四、五歳の時に、大工の年期奉公に出る。父は離婚後、僧侶となり、才市が仏法に近づく機縁となったようである。才市は出稼ぎの船大工をしていたが、五十歳を過ぎたころから、下駄職人になり、小浜に落ち着く。いくつかのお寺のご法座に参詣し、熱心に聴聞を重ねた。こうした詩を書くようになったのは、六十四歳の九月頃からと言われている。(梯實圓(1989)『わかりやすい名言名句―妙好人のことば』法藏館pp.131-140)