そのことがよく表されている一つの詩があります。浅原才市さん*という方の詩です。
ご恩思えば みなご恩
この才市もご恩でできました
なむあみだぶつ、なむあみだぶつ
才市さんはお念仏を通して、いのちの目覚めを頂かれた方です。新年を迎えるにあたり、今、ここのありがたさを改めて見つめていきたいものであります。称名。【副住職】
*浅原才市(1850~1937):石見国(現在の島根県)温泉津(ゆのつ)町小浜の生まれ。両親は早くに離婚し、十四、五歳の時に、大工の年期奉公に出る。父は離婚後、僧侶となり、才市が仏法に近づく機縁となったようである。才市は出稼ぎの船大工をしていたが、五十歳を過ぎたころから、下駄職人になり、小浜に落ち着く。いくつかのお寺のご法座に参詣し、熱心に聴聞を重ねた。こうした詩を書くようになったのは、六十四歳の九月頃からと言われている。(梯實圓(1989)『わかりやすい名言名句―妙好人のことば』法藏館pp.131-140)