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法話
2024/02/01
2月の掲示板

人間一生 酒一升

有ると思えば やがて無きかな
 「人間一生」と言えば、私は蓮如上人の書かれた御文章、『白骨章』を思い出します。

「人間の世のはかないようすをよくよく考えてみますと、この世はまぼろしのような一生です。一万年も生きた人がいるなどと聞いたことがありません。人間の一生はすぐに過ぎてしまうものです。」

『白骨章』は、お葬式の後、還骨法要の際に読み上げますので、門信徒の皆様は、一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。『白骨章』の前半では、「人間の一生」のはかなさや、いつこの体を離れることになるかは分からないという内容が書かれています。
 門信徒の方々とお話してますと、「振り返ると一年早いですね。」と言われる方がおられます。考えてみますと、一年の積み重ねが一生ということになりますが、いつどこで、人間の世を終えることになるかは分からないのです。
 一方で、酒一升の場合、後どれくらい残っているのかと楽しみに飲まれる方もおられることでしょう。
 「人間一生」と「酒一升」、似ているようで大きく違うのではないでしょうか。人間の世を終えることを「一寸先は闇」と思うのか、「お浄土という光の世界に生まれ、仏とならせて頂く」と思うのでは、今、現在の心の状態が大きく異なります。有ると思ってもやがて無くなっていくのが時間の概念です。だからこそ、今ここを安心して生きることのできるお念仏に既に出遇っていることを喜ばせて頂きながら、この瞬間と真剣に向き合って、生きていきたいものであります。称名。【副住職】