門信徒の方々とお話してますと、「振り返ると一年早いですね。」と言われる方がおられます。考えてみますと、一年の積み重ねが一生ということになりますが、いつどこで、人間の世を終えることになるかは分からないのです。
一方で、酒一升の場合、後どれくらい残っているのかと楽しみに飲まれる方もおられることでしょう。
「人間一生」と「酒一升」、似ているようで大きく違うのではないでしょうか。人間の世を終えることを「一寸先は闇」と思うのか、「お浄土という光の世界に生まれ、仏とならせて頂く」と思うのでは、今、現在の心の状態が大きく異なります。有ると思ってもやがて無くなっていくのが時間の概念です。だからこそ、今ここを安心して生きることのできるお念仏に既に出遇っていることを喜ばせて頂きながら、この瞬間と真剣に向き合って、生きていきたいものであります。称名。【副住職】