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法話
2024/04/20
4月の法話(「御堂さん4月号」)

 今月の御堂さんでは、「メディアが操る真実とは」というタイトルでの記事が紹介されていました。
 湾岸戦争が起きた時、ある一人の少女の訴えにより(これはお芝居ですが)、アメリカの世論が誘導され、イラクを懲らしめるべきという方向に転じました。そのことをメディアはまるで本当のようにに少女が涙ながらに語っている様子を報道したので、人々は信じてしまったのです。
 その上で、この記事を書かれた森達也さんは、メディアリテラシーの重要性について述べておられます。その中で、伝えたいこととして、「すべての情報は、誰かの視点である。」ということです。
 このことは、大変重要なことであると思います。メディアは、善悪、正邪など二元論で報じていることが多いですが、それは飽くまでメディアの視点であって、色々な視点で見てみることにより、一つの出来事であっても、大きく変わってきます。
森達也さんは、最後にこのように述べておられます。
「「すべての情報は、誰かの視点である」、これを頭ではなく、体で感じられるいい方法をお伝えします。簡単です。実際に、視点を変えてみるんです。私たちは案外、毎日同じ視点から、同じ一面を見ているものです。それを少し変えるんです。」
 例えば、私たちは通勤などの際、同じ道を通り、同じ時間の電車に乗っていることが多いと思います。それを少し変えてみるだけでも、普段とは違う日常になります。
 つまり、自分自身が視点を変えることにより、受け止め方も変わることがあるということです。メディアは飽くまでも一つの媒体に過ぎないのであって、その情報に対してどう判断するかは、私たち一人一人の視点であることを忘れてはならないと思います。そして、その情報から行動した結果は、全て自分自身が引き受けなければならないということです。逆に申しますと、一つの情報を鵜吞みにするのではなく、疑問に感じたことは、自分でよく調べてから、行動することが重要だと思います。「自業自得」という仏教用語がありますが、本来、悪い意味で使われるのではなく、「自分で行動した結果は、自分が引き受ける。」ということです。これは、厳然たる宇宙の真実です。ですから、自分自身が納得できる行動にしたいものです。すべての情報は誰かの視点であるならば、その情報について自分はどう考え、どう行動するかという視点に立つことが必要なのではないでしょうか。称名。【副住職】