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法話
2024/06/20
6月の法話(身近な存在(カラス)について)

 最近、カラスが多くなったように感じます。生ごみ回収の日には、覆われているネットを外して、ごみを散らかしてている光景をよく目にします。ご近所の方は、散らかったごみを掃除していました。
 また、ニュースでも、「凶暴カラスが人を襲う」という見出しで、人の頭を狙って飛んでくるカラスを話題にしていました。
 このように、カラスは私たち人間にとって、厄介者という印象を受けます。しかし、カラスの価値観では、そこにごみ(カラスにとっては必要なもの)があるから、ごみをあさるのであり、人間を襲うのも、何か守る必要があるからです。
 地球には、人間以外にも様々な生き物が生きています。人間の価値観で考えると、敵意を抱くばかりですが、彼らには彼らなりの価値観を持っていることを認める必要があると思います。その上で、どうしたら共存していけるか考えれば良いのではないでしょうか。ネットをかけてもごみを散らかされるのであれば、マンションのようにボックス形式にするのも一つの方法です。
 私たちはカラスと一括りに考えていますが、個体によって個性も様々です。あるご門徒の方がこのようなお話をされていました。
 ある方がご主人を亡くされて、話し相手もなく、寂しい思いをされていたそうです。窓の外を見ると、たまたま一羽のカラスがとまっていたので、話しかけてみると、よくお話を聞いてくれました。そして驚くことに、その日から毎日同じ時間に来て、その方のお話を聞いてくれたそうです。私はこんな優しいカラスもいるのだなと感心しました。
 私たち人間も、異なる生き物も、何か縁があってお互いこの地球に生まれ、お互い生きているのです。敵意を持つだけではなく、見方を変えれば、都会に住んでいても、色々な生き物がいて賑やかで、楽しいと思えるのではないでしょうか。 称名。【副住職】