法話
2025/04/20
4月の法話(讀賣新聞の記事)
4月11日から18日にかけての讀賣新聞に、医療ルネッサンス~ギャンブル依存症~という記事が全6回ありました。このシリーズでは、様々な事情により、ギャンブル依存症に至った方々が紹介されていました。
記事を読んでいて、ギャンブル依存症の方々に共通していることが分かりました。それは、心のエネルギーが枯渇(不足)しているということです。ある記事の冒頭に、「嫌な気持ちが忘れられ、気持ちが満たされた」とありましたが、そういうことだと思います。ということは、嫌な気持ちの状態にさせていることを止めるか、離れ、大いなる楽しみに出会い、その目的のために行動することしか根本的な解決にはならないということです。
お釈迦様のお言葉です。
たとえ貨幣の雨を降らすとも、欲望の満足されることはない。「快楽の味は短くて苦痛である」と知るのが賢者である。(『ブッダの真理のことば・感興のことば』岩波文庫36頁)
つまらぬ快楽を捨てることによって、広大なる楽しみを見ることができるのであるなら、心ある人は広大な楽しみをのぞんで、つまらぬ快楽を捨てよ。(同上50頁)
お釈迦様のお言葉を聞いて、厳しいと思われますか。それが出来れば、みんな悩まないし、苦労しないと思われることでしょう。しかしながら、お釈迦様のお言葉は真理そのものですから、どうすれば広大な楽しみを見ることができるようになるのか、そういった社会を創造できるのかを私たちは考えていく必要があると思います。お釈迦様はこの世の矛盾を感じられ、王子という位を捨てられ、真理のことばを人々に伝えられたお方です。そのお言葉を聞いた上で、今、私たちはどう生きていくべきかが問われています。ギャンブル依存症のように苦しむ方が無くなるように、お互いが尊敬と感謝の心を持ち、「交流と共有」の世界を目指していきましょう。称名。【副住職】