法話
2025/07/20
7月の法話(海の日に因んで)
明日7月21日は海の日です。毎日暑い日が続くので、海水浴に行く人もおられるかもしれません。
ところで、阿弥陀様のはたらきは、よく海に喩えられます。日常でお勤めする「正信念仏偈(お正信偈)」の中には、「本願海」、「功徳大宝海」、「大智海」という言葉があります。他にも、「一乗海」、「信心海」、「大信海」、「大心海」などと表現されています。
親鸞聖人がここまで阿弥陀様のはたらきを海に喩ておられるのは、一説によりますと、流罪のため、越後の国へ流された際、日本海を船で行かれたからと言われています。阿弥陀様のはたらきはとても思いも及ばれないので、海のように果てしなく広く深いお心と表現されました。
海は全てを包み込みます。その広大な海の中では、多種多様な生物が共存しながら、生きています。海には育む力があるのです。
私たちが生きている世界は、物質世界です。そこでは、お互いに分離をしていることで、様々な経験が出来ます。煩悩と呼ばれている感情は、それ故に生まれてくるのです。
煩悩の中でしか、生きていけないと考えるよりも、大いなる海のような阿弥陀様のはたらきの中で、私たちは、今、分離の経験をし、煩悩もまた、ありのままの心を表現していると頂くことができるのではないでしょうか。それはそれで、大切なことだと思います。ここで漫画家さくらももこさんの「ぜんぶ」という詩を紹介します。
大切なことは ぜんぶここにある。
泣くこと 笑うこと 怒ること 喜ぶこと
あたりまえの気持ちは あたりまえのものとして
そのまま 今ここにある。ぜんぶそのままだ。
私たちは、海のような阿弥陀様の中で育まれ、お陰様で、様々な経験をさせて頂くことが出来ます。ありがとうございます。そして、やがて海へと帰って行くように阿弥陀様の世界に生まれさせて頂きます。称名。【副住職】