法話
2025/08/01
8月の掲示板
流されて 流されて 丸くなる
転がって 転がって 丸くなる
傷ついて 傷ついて 丸くなる
人も石も丸くなる
石というものは、水の流れによって丸くなるものですね。小学生の頃、学校の林間学校で、鮎のつかみ取りをしたことがあります。河原の石はごつごつしていましたが、川の底の石は丸くつるつるしていたことを思い出しました。
私たちも人生経験を重ねるにしたがって、丸くなっていくのかもしれません。以前に若坊守が紹介させて頂きました『102歳、一人暮らし。』という本があります。その本には、102歳で一人暮らしをされている哲代おばあさんの心も体もさびない生き方が満載されていますが、哲代おばあさんが正しく「丸くなる」お姿を示されているように思います。
哲代おばあさんは、戦争を経験してこられました。戦争が始まった年はすでに小学校の先生をされていましたが、昭和16年12月8日の朝礼の光景は今でも忘れられないと仰っておられます。
「戦争というものは人と人との殺し合いです。地獄ですよ。お父さんが戦死した子もいました。再びそういう時代になってはいけません。未来は子どもたちのものですからね。」
現在は本願寺派のご門徒さんで、毎日お仏壇の前でお勤めもされます。常に報恩感謝の心を持っておられます。
「当たり前の毎日に感謝し、ささやかなことに大喜びしています。こうして体も心も大いに動かすから、朝までぐっすり眠れます。」
戦争という時代に流されて、様々な苦労を重ねて、傷つくような経験もされたようです。しかし今、百歳を超えられて今この瞬間を感謝され、自分の心をいつもご機嫌さんで過ごされているお姿にただ頭が下がり、学ばせて頂いたことであります。称名。【副住職】