人は　昨日にこだわり

明日を夢みて

今日を忘れる

　ここ２週間ほどで、一気に秋が深まった印象があります。やはり季節は巡るものですね。私たちも季節と同じように、日々、一瞬一瞬変化しています。昔CMで流れた曲に、「昨日　今日　明日　変わりゆく私　紅くいろづく　ときめきを　誰に告げましょう」とありましたね。
　変化しているということは、昨日は今日と違うということであり、明日は、まだ何も決まっていないということです。もし昨日にこだわってしまえば、今日もまたその現実を引きずってしまうことになります。

　一方で、明日はまだ何も決まっていません。明日の予定はあるかもしれませんが、それも自由に変えられるのです。例えば仕事などで予定を変えられない場合でも、「今日は空気も澄んで気持ちが良いから、公園を通って、紅葉でも見てみよう」と思って、いつもと違う道を通るだけでも、少し楽しくなるのではないでしょうか。それは、明日を夢みるのではなく、目的をはっきりさせるということです。たとえ小さなことであっても、目的を持って行動すれば、毎日がルーティンにならずに、今日を忘れることもないと思います。
　今日のこの瞬間は、もう二度とないのです。そう考えると、この一瞬が如何に大切であるかが分かります。今月末には紅葉も美しくなるでしょう。「紅くいろづくときめきを」誰かに告げて、この一瞬を愛でるのも良いのではないでしょうか。称名。【副住職】