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法話
2025/11/20
11月の法話(クマ騒動)

 今、世間を賑わせているニュースと言えば、クマによる被害ではないでしょうか。今年は例年より、餌が不足しているらしく、クマに遭遇し、亡くなられた方も多くなっているようです。母の実家は福井県ですが、そこに住んでいるお友達の方もクマを見かけたとのことです。秋田県では、クマの被害の対策として、自衛隊まで派遣される事態になっています。
 今年は特にクマが出没しているようですが、考えてみますと、毎年、この季節になるとクマの話題になります。原因として考えられることは、餌不足以外にも、クマの生息地域の減少もあるでしょう。母の実家では、ここ数年、立派な道路が出来て、確かに便利になりました。また、森林を切り開いて、ソーラーパネルが設置されている所もあります。しかしそうしたことによって、クマなどの野生動物の住処が減少しているのです。
 また、養老孟司さんがある本で書かれていたのは、「人が里を管理しなくなった」ということです。里というのは、人と動物の住処の境界のような役割を果たしていて、昔は、例えば林業に携わるような人が、適度に木を伐り、管理していたとのことです。そうした「住み分け」が自然に出来ていたものが、今では、森林に突然道路を作ったり、住宅地との境目も分からなくなってきていることも一因だと思います。
 養老孟司さんの本はもう10年以上も前に出版されています。当時から問題点を指摘されていたにも拘わらず、里の管理について議論されたかどうかは分かりませんが、現状は変わっていないように思います。近視眼的に、「クマを駆除すれば良い」と言っても、それはそれで、また餌が無くなったら、繰り返すだけです。里という地帯を作り、クマが食べられるような植物を植えておけば、少しでも被害を抑えられるし、クマも人を襲わずにすみます。全てはバランスです。これは御釈迦様が言われた根本的なことです。御釈迦様が願われた「全ての生きとし生けるものに幸いあれ。」というお言葉と共に、クマに対しても尊敬と感謝の気持ちを忘れないようにしたいものですね。称名。【副住職】