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法話
2021/01/01
1月の法話

つくられた幸せでインスタ疲れ

本当の幸せは写真映えしない

日常の温かさの中に光っている

(真宗仏光寺派本山掲示伝道より)
 インスタグラム。日常の写真や動画を投稿したり、自分が見たいアカウントをフォローすることで、様々な情報を得ることができます。大変便利ではありますが、自分の投稿に対する「いいね」の数やフォロワーの数などが気になって、疲れてしまうこともあるようです。
 考えてみますと、写真や動画は変化することがありません。今日撮ったものは、1年経っても、10年経っても変わりません。人がつくったものはあまり変化しないものです。例えば1500年以上前に造られた古墳が日本各地に点在していることからもよく分かります。そして、普段の私たちはそうしたものに縛られて生きています。一方で、私たち自身は変化し続けていますが、そのことを常に意識して生きている人は数少ないように思います。しかしながら、本当の幸せは、言葉では表せない変化の中で生まれるものです。言葉では表せない「日常の温かさ」の中で光っているのです。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

 この歌は俵万智さんの歌集『サラダ記念日』の有名な一首です。「寒いね」という言葉では無く、身に染みる寒さを共感している人の心のあたたかさがとても幸せなことが分かります。ところが、私たちは身近な人の存在をつい当たり前と思ってしまいます。あるテレビ番組のインタビューで、「今まで当たり前と感じていたことが一番幸せだったことに気付かされた一年でした。」と答えておられました。「当たり前」では無いからこそ、「有ることが難しい」、「ありがとう」の言葉が今、心に染みる。新年を迎えるに当たり、そのように感じております。称名。【副住職】