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古文書
2022/03/05
藤野田村記載宗門人別送り状(その⑲)

原文

      宗旨往来
一摂州大坂近江屋七之助妹すま与申者
  代々浄土真宗拙寺旦那ニ紛無御座候尤切支丹
  轉ニ而茂無之候 然ル處此度諸国巡拝罷出
  度旨願出申候ニ付 宗旨往来指出し申候
  御関所者勿論何国ニ而茂無滞御通シ可被
  下候 若行暮候節者止宿御指図可被下候
  尚相果候ハヽ 其御處之任御作法御取置
  可被下候 宗旨者浄土真宗拙寺壇阿相違
  無御座候 宗旨往来一札仍而如件
     文政十年
      亥六月    摂州藤野田
                    圓満寺(切除)
      国々
        御関所
      寺社
        御役所

書き下し文

      宗旨往来
一摂州大坂近江屋七之助妹すまと申す者
  代々浄土真宗拙寺旦那に紛れ無く御座候 もっとも切支丹
  轉にてもこれなく候 然ル処此度諸国巡拝罷り出
  度旨願い出申し候に付 宗旨往来指出し申し候
  御関所は勿論何国にても滞り無く御通し下さる
  べく候 もし行暮候節は止宿御指図下さるべく候
  尚相果候はば 其御処の御作法に任せ御取置
  下さるべく候 宗旨は浄土真宗拙寺旦那に相違
  無く御座候 宗旨往来一札よって件の如し
     文政十年
      亥六月    摂州藤野田
                    圓満寺(切除)
      国々
        御関所
      寺社
        御役所

解説

いわゆる往来手形といわれるもので、旅にでたり諸国の寺院や神社へ参詣する時に発行されました。
圓満寺檀家の近江屋七之助妹すまが諸国巡拝の旅に出発するにあたり圓満寺より発行された往来手形です。
関所等を通過する時この手形を見せて身元を明かし通行許可をもらうわけです。従って旅行中は肌身離さず携帯し帰宅後は拙寺へ返却されたものと思われます。
拙寺にこの手形が存在していることは無事に帰宅したということになります。
文章中にも記載されていますが、道中で亡くなったらその土地の作法で葬ってもらうよう要請しています。
遺骨はどうなったのでしょうか。無事帰宅できたのでしょうか。亡くなった土地に埋葬されたのかもしれません。
江戸時代旅をするのも命がけであったということです。