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古文書
2024/10/15
往来手形⑦

原文

       寺送り一札之事
一肥前国平戸松浦郡田助浦北野玄龍与
 申者代々門徒一向宗旨旦那二
 紛無御座候此度諸国執行二
 罷出申候萬一此者儀何国二而茂
 病死等仕候者拙寺江不及
 御届ヶ其御所御作法御取埋メ
 可被下候為後日寺送り一札如件
  嘉永三庚戌年八月  肥前平戸田助浦
                       妙德寺
  諸国所々
   御役人衆中  

書き下し文

       寺送り一札の事
一肥前国平戸松浦郡田助浦北野玄龍と
 申す者 代々門徒一向宗旨旦那に
 紛れ無く御座候 此度諸国執行に
 罷り出申候 万一此者儀何国にても
 病死等仕り候ば 拙寺へ御届け
 及ばず その御所御作法御取り埋め
 下さるべく候 後日の為寺送り一札件の如し
  嘉永三庚戌年八月  肥前平戸田助浦
                       妙德寺
  諸国所々
   御役人衆中  

解説

表題は「寺送り一札之事」となっているが、文面は往来手形の文面とほぼ一致しています。
一八五〇(嘉永三)年八月に肥前(長崎県)平戸田助浦・妙德寺から発行されている手形です。
妙德寺は長崎県平戸市田助町に現存する浄土真宗本願寺派(お西)の寺院です。
実は、次回お知らせするもう一通の送り状と二枚一組で「送り一札」として発行されています。
おそらく北野玄龍が大阪へ移住するために発行された手形かと思われます。